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森山由孝と伊月俊は付き合うことになった。
その関係は森山が高校を卒業してからも続いていた。
森山は進学した大学の関係で都内に一人暮らしするようになったので、いつでも好きに来ていいよと伊月に合鍵を渡しておいた。
とはいえ、伊月も練習が忙しく早々森山の家に行くことは出来なかった。
森山は森山で大学一年で取得すべき学科が多く、朝一から夕方まで講義が入ることが多かった。その後、バイトもしていると森山の帰宅時間は遅くなることが続いていた。
――これじゃあ、二人の休日が合う日がいつになるのか……
森山は呟きながら家へと向かっていた。
土曜の講義は午前中で終わり、午後はバイトに費やしていた。明日は今日の疲れを取ろうと一日オフにしてある。
森山はきっと明日も練習があるんだろうなと思いながら伊月にオフの連絡だけでもしておこうとメールを打ち始めた。マンションの前に来て自分の部屋の異変に気付いた。
誰もいないはずの部屋に明かりがついていた。
そして一つの小さな期待を抱きながらエレベーターのボタンを押す。降りてくるエレベーターが待ちきれないほどに森山の心は高まっていた。
エレベータを降り、駆け出したくなる足を理性で抑え心を少しでも鎮めながら歩いて向かう。
部屋の前で一呼吸して、鍵穴へと鍵を差し入れて開けてドアノブを捻る。
「あ。森山さん、おかえりなさーい」
ヒョコと、玄関の見える位置に頭を出した伊月が嬉しそうに笑って森山に声を掛ける。
「た、ただいま……」
部屋の中に立ち込める香りに森山は首を傾げながら伊月の元へ行けば、先ほど顔だけしか見えなかったがエプロン姿の伊月がキッチンに立っていた。
「森山さん、ご飯食べてきちゃいました?」
お玉片手にお味噌汁の味見をしている伊月が問いかけてくる。
「いや、冷凍のチャーハンがあるから夕飯はそれにしようと思ってたから食べてないよ」
「良かった。驚かせようと思って連絡しないで作っちゃったんですけど食べてきちゃう可能性もあることに気付いて」
少しドキドキしちゃいましたと、笑う伊月に森山は突然の光景に反応に困ってしまっていた。
「森山さん?」
「あ、いや。まさか家に居てくれるなんて思わなかったし、ご飯まで作ってくれてたなんて」
嬉しすぎて、気持ちの整理がつかないなと、森山は口元を押さえながら照れている。伊月も驚かせるつもりでいたのだが、そういう反応だとは思わず頬を赤くしてお味噌汁をかき混ぜる。
その姿を見て森山は微笑む。
少し冷静になった頭で改めて伊月を見る。エプロン姿にお玉を持って見ようによっては可愛い嫁さんだ。そう考えて可愛らしい恋人だと思う。
「そういえば、明日練習は?」
「明日は体育館の整備で使えないので休みになりました」
笑顔で嬉しそうに言う伊月に森山も俺も明日はバイト休みなんだと告げる。
「じゃあ、ゆくっりできるんですね」
森山は壁に掛かってる時間を見て遅い時間になってることに気付く。
「だいぶ遅い時間だが大丈夫か?」
「あ……」
伊月は明後日の方へと視線を移してしまう。森山は遅くなる連絡はちゃんとしておかないとダメだろうと、言いながら伊月に近づく。
「きょ、今日、泊まってもいいですか?」
「えっ?」
「明日が休みになったから……」
明日、バイトだったとしても一緒に居られると思ってと、呟く伊月に森山は驚いて目を瞠る。
そして伊月の事を横から抱きしめる。
「わわっと」
危ないですと、呟きながらも嫌がる素振りがないので森山はそのまま背後に回って後ろから再度抱きしめる。伊月の頭から手元を見つめる。
お味噌汁に肉じゃが、お皿にはナスのひき肉のはさみ焼が盛りつけられている。
「材料、買ってきたの?」
「はい。作れる料理限られてるので買って持ってきました」
余ってる食材は使ってくださいと、伊月は言いながら肉じゃがを皿に盛りつける。
限られてると言っても、これは十分過ぎるレベルだと森山は伊月を抱きしめながら思う。
「森山さん」
「ん?」
「手洗いとうがいしてきてください。ご飯食べましょう」
時間掛かっちゃいましたけど出来ましたと、嬉しそうにお味噌汁をよそう。確かに森山が帰ってくるだろう時間に合わせて作っていたんだろうが、肉じゃがのしみ込み具合を見て夕方から作ってくれていたのかなと勝手に想像する。
手を洗い、うがいをしながら伊月が料理をしている姿を考えるだけで嬉しくなる。そして、これが初の手料理になるんじゃないかと気付いた。
何のご褒美だと思うくらい嬉しい出来事じゃないかと思う。
「記念日、か……」
これは心の中に秘めていつか伊月に教えてあげようと思いながら、夕食の用意をしている伊月の元へ戻る。
「味見はちゃんとしたんだけど、口に合うかな」
なんか、急に心配になっちゃいますねと、笑いながらテーブルには森山も久しぶりのご飯と味噌汁が並ぶ。
「匂いは完璧だよ」
「……匂いだけにならないか心配なんです」
家の味付けの違いって大きいんですよと、心配をする伊月に森山は大丈夫だよと言いながら食べようかと声を掛ける。
「いただきます」
「いただきます」
お味噌汁を啜っていると森山は自分を見つめる視線に気付く。
「どう、ですか?」
「美味しいよ」
「ホントですか?」
嘘なんかついてもしょうがないでしょうと、言いながら森山は食事を進める。
ちゃんと味見をしていたと言っていたのだから、口にできないほど不味いものは出来ていないはずだと思う。
「ちゃんと出汁まで取ってるし、美味しいよ」
「味噌濃すぎたりしてないですか?」
「大丈夫だよ」
良かったと言って伊月もお味噌汁を啜る。小声で美味しと呟きながらご飯を食べる姿は可愛いなぁと思いながら森山は気になっていたことを伊月に問いかける。
「料理、よくやってるの?」
「そんなにやってないです。ただ今の時代、男も料理できなきゃダメだって姉さん達が言うので食事作るのを手伝ってたんです」
やってて良かったですと嬉しそうに言うので、森山も微笑んだ。
「森山さんもされてるんですよね?」
「出来る時だけね」
「今度、食べさせてください」
「いいよ。伊月程うまくないけどね」
頑張って作るよと、森山が言えば伊月は森山さんが作ってくれるなら大丈夫ですと笑顔で言う。
負けないようにレシピ見ないといけないなと思いながら、肉じゃがを口に入れた。
「ホントに美味しいな」
今まで会えなかったのが嘘みたいに幸せな時間を噛み締めた。
その関係は森山が高校を卒業してからも続いていた。
森山は進学した大学の関係で都内に一人暮らしするようになったので、いつでも好きに来ていいよと伊月に合鍵を渡しておいた。
とはいえ、伊月も練習が忙しく早々森山の家に行くことは出来なかった。
森山は森山で大学一年で取得すべき学科が多く、朝一から夕方まで講義が入ることが多かった。その後、バイトもしていると森山の帰宅時間は遅くなることが続いていた。
――これじゃあ、二人の休日が合う日がいつになるのか……
森山は呟きながら家へと向かっていた。
土曜の講義は午前中で終わり、午後はバイトに費やしていた。明日は今日の疲れを取ろうと一日オフにしてある。
森山はきっと明日も練習があるんだろうなと思いながら伊月にオフの連絡だけでもしておこうとメールを打ち始めた。マンションの前に来て自分の部屋の異変に気付いた。
誰もいないはずの部屋に明かりがついていた。
そして一つの小さな期待を抱きながらエレベーターのボタンを押す。降りてくるエレベーターが待ちきれないほどに森山の心は高まっていた。
エレベータを降り、駆け出したくなる足を理性で抑え心を少しでも鎮めながら歩いて向かう。
部屋の前で一呼吸して、鍵穴へと鍵を差し入れて開けてドアノブを捻る。
「あ。森山さん、おかえりなさーい」
ヒョコと、玄関の見える位置に頭を出した伊月が嬉しそうに笑って森山に声を掛ける。
「た、ただいま……」
部屋の中に立ち込める香りに森山は首を傾げながら伊月の元へ行けば、先ほど顔だけしか見えなかったがエプロン姿の伊月がキッチンに立っていた。
「森山さん、ご飯食べてきちゃいました?」
お玉片手にお味噌汁の味見をしている伊月が問いかけてくる。
「いや、冷凍のチャーハンがあるから夕飯はそれにしようと思ってたから食べてないよ」
「良かった。驚かせようと思って連絡しないで作っちゃったんですけど食べてきちゃう可能性もあることに気付いて」
少しドキドキしちゃいましたと、笑う伊月に森山は突然の光景に反応に困ってしまっていた。
「森山さん?」
「あ、いや。まさか家に居てくれるなんて思わなかったし、ご飯まで作ってくれてたなんて」
嬉しすぎて、気持ちの整理がつかないなと、森山は口元を押さえながら照れている。伊月も驚かせるつもりでいたのだが、そういう反応だとは思わず頬を赤くしてお味噌汁をかき混ぜる。
その姿を見て森山は微笑む。
少し冷静になった頭で改めて伊月を見る。エプロン姿にお玉を持って見ようによっては可愛い嫁さんだ。そう考えて可愛らしい恋人だと思う。
「そういえば、明日練習は?」
「明日は体育館の整備で使えないので休みになりました」
笑顔で嬉しそうに言う伊月に森山も俺も明日はバイト休みなんだと告げる。
「じゃあ、ゆくっりできるんですね」
森山は壁に掛かってる時間を見て遅い時間になってることに気付く。
「だいぶ遅い時間だが大丈夫か?」
「あ……」
伊月は明後日の方へと視線を移してしまう。森山は遅くなる連絡はちゃんとしておかないとダメだろうと、言いながら伊月に近づく。
「きょ、今日、泊まってもいいですか?」
「えっ?」
「明日が休みになったから……」
明日、バイトだったとしても一緒に居られると思ってと、呟く伊月に森山は驚いて目を瞠る。
そして伊月の事を横から抱きしめる。
「わわっと」
危ないですと、呟きながらも嫌がる素振りがないので森山はそのまま背後に回って後ろから再度抱きしめる。伊月の頭から手元を見つめる。
お味噌汁に肉じゃが、お皿にはナスのひき肉のはさみ焼が盛りつけられている。
「材料、買ってきたの?」
「はい。作れる料理限られてるので買って持ってきました」
余ってる食材は使ってくださいと、伊月は言いながら肉じゃがを皿に盛りつける。
限られてると言っても、これは十分過ぎるレベルだと森山は伊月を抱きしめながら思う。
「森山さん」
「ん?」
「手洗いとうがいしてきてください。ご飯食べましょう」
時間掛かっちゃいましたけど出来ましたと、嬉しそうにお味噌汁をよそう。確かに森山が帰ってくるだろう時間に合わせて作っていたんだろうが、肉じゃがのしみ込み具合を見て夕方から作ってくれていたのかなと勝手に想像する。
手を洗い、うがいをしながら伊月が料理をしている姿を考えるだけで嬉しくなる。そして、これが初の手料理になるんじゃないかと気付いた。
何のご褒美だと思うくらい嬉しい出来事じゃないかと思う。
「記念日、か……」
これは心の中に秘めていつか伊月に教えてあげようと思いながら、夕食の用意をしている伊月の元へ戻る。
「味見はちゃんとしたんだけど、口に合うかな」
なんか、急に心配になっちゃいますねと、笑いながらテーブルには森山も久しぶりのご飯と味噌汁が並ぶ。
「匂いは完璧だよ」
「……匂いだけにならないか心配なんです」
家の味付けの違いって大きいんですよと、心配をする伊月に森山は大丈夫だよと言いながら食べようかと声を掛ける。
「いただきます」
「いただきます」
お味噌汁を啜っていると森山は自分を見つめる視線に気付く。
「どう、ですか?」
「美味しいよ」
「ホントですか?」
嘘なんかついてもしょうがないでしょうと、言いながら森山は食事を進める。
ちゃんと味見をしていたと言っていたのだから、口にできないほど不味いものは出来ていないはずだと思う。
「ちゃんと出汁まで取ってるし、美味しいよ」
「味噌濃すぎたりしてないですか?」
「大丈夫だよ」
良かったと言って伊月もお味噌汁を啜る。小声で美味しと呟きながらご飯を食べる姿は可愛いなぁと思いながら森山は気になっていたことを伊月に問いかける。
「料理、よくやってるの?」
「そんなにやってないです。ただ今の時代、男も料理できなきゃダメだって姉さん達が言うので食事作るのを手伝ってたんです」
やってて良かったですと嬉しそうに言うので、森山も微笑んだ。
「森山さんもされてるんですよね?」
「出来る時だけね」
「今度、食べさせてください」
「いいよ。伊月程うまくないけどね」
頑張って作るよと、森山が言えば伊月は森山さんが作ってくれるなら大丈夫ですと笑顔で言う。
負けないようにレシピ見ないといけないなと思いながら、肉じゃがを口に入れた。
「ホントに美味しいな」
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自己紹介:
のんびりまったり、同人活動している人間です。
【黒子のバスケ】
友人のススメで原作を読みアニメを見てます。誠凛の伊月センパイ&秀徳1年コンビを気に入っております。
作者及び出版社等は一切関係御座いません。自己責任で閲覧ください。
※無断転載禁止※
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