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pixiv ⇒ 今日は特別な日

だいぶ遅れてしまいましたが、黒子っちお誕生日おめでとうございます!
約3ヵ月ぶりの黒月です。急いで仕上げてしまったので、おかしい部分が多々あると思います。
すいません……(反省)

+ + + + + + + + + +
黒子は寒い朝の空気の中、学校へ向けて歩いていた。
先日、降った雪が微かに残る道を歩きながら黒子は息を吐き出した。
今日は黒子にとって意味のある日だ。
学年では一つ上にあたる大事な人と二歳離れていた年の差が一歳に戻る日。
年下だという事に固執するわけではないけれど、対等でいたいと思う黒子の中で年齢というのはすごく引っかかった。

――あの人がそういうことを気にないのはわかっている。

黒子の大事な人、伊月俊が年上だからとか先輩だからと言ってくることはない。
火神の敬語になっていない言葉にも寛容なぐらいだ。
黒子の年齢が一つ離れようが二つになろうが大した差がないのだろう。
伊月は常に対等でいてくれる、それは黒子にも十分過ぎる程、わかっている。
けれど、そういった部分を意識してしまうくらいにはまだ黒子も大人ではないという事だ。
それでもやっぱり少しでも近づいてはいたいので、この誕生日は少なからず嬉しかった。

「黒子、お誕生日おめでとー!」

部室に入ると一年生部員が声を掛けてくれる。

「ありがとうございます」
「あれ、黒子、今日誕生日なの?」

横で聞いていた小金井が近づいて問いかけてきたので、黒子は頷く。

「ほら黒子」

火神が黒子に一枚の紙を渡す。
見ればマジバーガーのクーポン券で、内容はバニラシェイク無料券。

「火神君、これは?」
「やるよ。好きなんだろ?」
「ええ、好きですけど」

黒子はそれを見つめる。

「火神、もしかしてクーポン券がプレゼント?」
「っす」

小金井が火神に向けて問いかけると火神はそうですと頷くので、黒子はお財布に入れながら火神にお礼を言った。

「ありがとうございます。わざわざそこだけ切ってくれたんですね」
「あ、ああ」
「そして、他は自分で使うんですね……」

黒子の視線に火神は狼狽えながらも頷くと、黒子の右手が火神の腹部を直撃していた。

「ってーなッ! 黒子、てめー」
「はーい。火神ストップストップ」

火神が黒子に掴みかかろうとするのを小金井と見かねた水戸部が止める。

「今日は黒子の誕生日なんだろ?」
「……(コクコク)」

2人の制止に火神は止まって着替えを再開させた。
黒子の元に、降旗が近づいて小さな袋を渡す。

「黒子、これ」
「なんですか?」
「一応、一年4人でお金出しあって買ったんだ。良かったら使って」

火神も出してるからと、強調して降旗は体育館へと向かって行った。
袋の中身はリストバンド。
黒子がいつも付けているから選んでくれたものだろう。

「へえ、リストバンドかぁ」
「わっ!」

一緒に覗き込む陰に気付かず黒子は思わず声を上げる。

「い、伊月センパイ……」
「ははっ。いつもは黒子に驚いてるけど、黒子が驚くとは」

面白いものが見えたと、伊月は嬉しそうに喋る。

「人が悪いです」
「何言ってるんだ、いつものお前はこの連続なんだぞ?」

少しは俺たちの驚きがわかったか? と、伊月が黒子の額を指で弾く。

「お誕生日おめでとう。1年に先越されちゃったけど」
「いえ。ありがとうございます」

そして伊月も小さな包みを黒子に手渡した。

「プレゼント。バスケ用品だと被りそうだったから、違うのにしたんだけど正解だったな」
「……?」

先に行ってるなと、伊月は黒子に告げて部室を一人出て行った。
それを見送ってから、黒子は包みを開ける。

「あっ……」

そこにはブックカバーとブックマーカーが入っていた。
しかもブックカバーは新書用と文庫用の2種類入っていて、黒子がよく読んでいる本のサイズのものだった。
2人でいる時に読んでいた本のサイズを覚えてくれていた事に黒子は嬉しくて大事に鞄に仕舞った。
そして黒子も朝練の為に体育館へと向かった。

 * * *

放課後の練習終わり。
黒子は伊月と一緒に帰り道を歩いていた。

「黒子、マジバーガー寄って帰ろうか?」
「はい」

伊月が笑顔で黒子に声を掛ける。
これまでも、帰りにマジバーガーに寄って帰ることは何度かあったが、今日はなんだか特別に感じるのは黒子の勘違いではない。

「今日、火神君にクーポン貰いました」
「ああ。そうだったな、じゃあ、それは火神と来た時に使えよ」
「どうしてですか?」

折角あるのだから使えばいいのにと黒子は首を傾げる。

「今日は俺がごちそうするんだから。って言ってもバニラシェイクだけど」

伊月はそう言いながら、低いよなぁといいながら道を歩く。
黒子はそんな伊月の背中を見つめる。
ここは、恋人でもある伊月の好意を素直に受け取ることにした。

「わかりました」

2人でマジバーガーへ向かっていたが、目の前にヒラっと落ちてくる白いものが見えた。

「雪?」
「どうりで寒いわけですね」

雪がチラチラと舞い落ちてきて、吐く息がさらに白くなった。

「黒子」
「ハッピーバースデー」

振り返って黒子に触れるだけのキスをする。
少し照れるように伊月が笑った。

「先輩。不意打ちはズルいです。ちゃんと、もう一度してください」
「えっ……、や、やだよ」
「なんでですか、もう一度」

頬を赤く染めて横を向いてしまった伊月に黒子は食らいつく。

「は、早く行くぞ」
「ちょっと、先輩。逃げないでください」

走り出してしまった伊月に、黒子も走り出す。
黒子がもう一度伊月にキスしてもらえたかどうかは、また別の話。


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自己紹介:
のんびりまったり、同人活動している人間です。

【黒子のバスケ】
友人のススメで原作を読みアニメを見てます。誠凛の伊月センパイ&秀徳1年コンビを気に入っております。

作者及び出版社等は一切関係御座いません。自己責任で閲覧ください。
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