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表紙:べっこうリコ様 HPpixiv
宮地×伊月 / A5FC / 44P / ¥500-

pixiv ⇒ 【C87新刊サンプル】 そしてここから

もしも伊月俊が秀徳高校へ通っていたらというパラレル設定本第2弾です。
こちら1冊でも読めますが、1冊目と少しだけリンクしてます。
※1冊目「明日へ広がる空

◆書店委託 ⇒ とらのあな様 / CQ-WEB様




+ + + + + + + + + +


同級生だった日向順平に告げられた進路に伊月俊は愕然とした。

「オレ、誠凛に行くわ」

高校進学の話になり、お互い何処の高校へ行くのかと他愛のない話をしていたはずだった。

「誠凛って、新設校の? あそこ、バスケ部なかったはずじゃ……」

近くに新しい高校が出来ると話題に上がっており、どんな学校なのかと情報は入ってきていた。

「だからだろ、バスケはもうやらないんだから」

バスケはやらないから、バスケ部のない学校に行くと言われ伊月は、なんとなく決めていた進路に迷いが生じた。
高校でも日向とバスケを頑張ろうと思っていたのだが、伊月が思っていた以上に中学で一度も勝ったことがなかったのは日向の心に傷を残していた。
伊月も悔しくないわけがない。日向の実力に自分の練習では追いつくことが出来ず足を引っ張るだけになったのは、事実だ。

「高校でも一緒にやろうぜ、日向」

必ずしも同じ高校へと行けるかはわからないが、それでもそんな未来を見ていた伊月は、日向の決意を変えようと声を掛ける。

「ぜってーやらねー」

日向の言葉に伊月はバスケやるの楽しいじゃないかと続けるが、日向は頑なに首を振る。

「練習しても勝てないんじゃ意味ねーだろうが」
「バスケは好きだろ」
「……嫌いだ」

一瞬の間は、嘘が嫌いな日向らしいけど、出てきた言葉は嘘の言葉だった。
嘘を言う為の一瞬の間。
それから伊月は日向に向けてバスケを完全に嫌いになれるわけないと言うが、日向はバスケをやらないの一点張りだった。

「嘘つき。オレはまだ好きだし、まだやりたいからバスケ部のある学校にするよ」
「……勝手にしろ」

日向とはそれきりで、卒業式でも会話をすることはなかった。
自分がどの高校を受けて、どこへ進学するのかも伝えることなく、伊月は秀徳高校へと入学した。




時々、伊月は当時の夢を見る。
一緒の高校へ進まなかった事へ後悔しろとでも言うように、定期的に過去を追体験させられた。
あの時、もっと他に掛けるべき言葉があったのではないのかと、悩ませるくらいにはその夢は伊月を苦しませた。
IH予選の試合会場で『誠凛高校バスケ部』の名前を聞くまでは、そこまで苦しむこともなかったのだろうかと思わずにはいられなかった。
聞いたことのある名前に興味を引かれ試合を見なければ良かった。
試合を見つめ伊月は後悔した。
そこには新設校の一年だけのチームの快進撃があった。

「……日向」

盛り上がる会場とは反比例して伊月の心は沈んでいた。
絶対やらないと、豪語していた日向がバスケをしていた。
自分の知らない人たちと一緒に。見間違うはずなどなかった。
四番のユニフォームを身に纏いチームの主将として声を掛けていた。
あの輪の中に自分はいない。

「どうして、日向」

彼の中になんの変化があったというのだろうか、少なくとも中学にいた間は心変わりなどしていなかったはずだ。
ふと伊月の視界に見知った顔が確認できた。
知り合いというわけではなく、伊月が一方的に彼を知っていた。
無冠の五将の一人、鉄心の木吉鉄平。

「そっか、無冠の五将からやろうって言われたら、普通やるか」

それがわかると妙に納得できた。
何の才能も実力もない自分の言葉よりも、才能も実力もある人物に言われる言葉ほど効果的なものはない。

「誠凛高校の勝利です」

日向は考えなかったのだろうか、このまま勝ち進んでいたら、いつか自分のいる秀徳と対戦することになるということに、それともそんなことは気にもかけず、バスケを始めたのだろうか。
伊月が、高校でもバスケをやっていることは知っているはずだ。
よぎる疑問は多すぎて、伊月はただただその光景を見つめることしかできなかった。
結局、この夏は誠凛と秀徳が直接対戦することはなかった。


** **


宮地から勉強を教えてもらおうと思ったのはテスト期間中に体育館で見つけた宮地の姿だった。
ボールとバッシュの音に気付き体育館へ向かった伊月の目に入ったのは体育館で一人練習している宮地の姿だった。
なんで使用する為の鍵は監督である中谷が持っているはずだ。
それを借りて使えているという事は監督が許可した練習なのだろう。

「どうして」

思わず呟きが漏れる。

「お、伊月も今帰りか?」

掛けられた声に振り返るとそこには大坪が片手をあげていた。

「お疲れ様です」
「何かやってたのか?」
「委員会です。大坪先輩は?」
「オレもだ」

そう言って歩き出した大坪に合わせて歩き出す。

「宮地はまたやってるんだな」
「テスト期間中なのにいいんですか?」
「ああ、アイツは成績優秀だからな。監督が特別に許可してるんだ」
「そうだったんですね。どのくらい良いんですか?」

伊月の質問に大坪は少し驚きながらも目元を緩めて口を開いた。

「基本的に学年順位で一桁だな」
「一桁……」
「まあ、一桁まではいかなくとも、三十位以内に入れば許可は下りるんじゃないのかな」
「えっ」

何でわかってしまったのだろうと伊月が顔をあげると、大坪は笑みを浮かべて体育館にいるだろう宮地の方へ視線を向ける。

「練習、やりたいんだろう?」

まあ、全員やりたいのは同じだろうけどさと大坪は続ける。

「少し休みたいと思ってしまう部員もいる中で、そんな事かけらも思うことなくやりたいって、宮地もだけど伊月もそんな目をしてる」
「宮地先輩も?」
「ああ。ただ、無理だけはするなよ。体を壊しては意味がないからな」
「……はい」

テスト期間中の練習はやりたかった。
その為に勉強をするしかないのだが、別に疎かにしているわけでもないので、どうしたら宮地の様に学年の上位に入れるような成績が納められるのだろうかと考えた末に行きついたのが宮地に教えてもらうというものだった。
素直に教えてはくれないだろうとは思ったが、意外にも自分の真意を伝えると了承の返事が来たのには嬉しさと同時に驚いた。
自分にも他人にも厳しい人がと、思わずにはいられずに信じられなかった。
けれど、教えてくれるとはいえ結局は自分自身の力でやるしかない部分は変わらないのだが、勉強のやり方を少し教えてくれただけなのに、一学期の期末テストの結果は飛躍的に伸びた。
けれど、監督の許可が下りるまでの成績ではなかったけれど。
手応えはあったので、引き続き宮地の言うとおりの勉強法にしていこうと思った。


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プロフィール
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非公開
自己紹介:
のんびりまったり、同人活動している人間です。

【黒子のバスケ】
友人のススメで原作を読みアニメを見てます。誠凛の伊月センパイ&秀徳1年コンビを気に入っております。

作者及び出版社等は一切関係御座いません。自己責任で閲覧ください。
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