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Pixiv ⇒ いちばん深い夜と朝のあいだで 01

※パロ設定※
天使の高尾と死んで魂になってしまった緑間のお話。まずは出会い編です。
    


+ + + + + + + + + +
  
  
 
沈み込んでいる意識。
感じるのは深い深い闇。
朝日はあの日から、まだ昇ってはいない――。



 
「おーい。緑間真太郎ー」

誰かが自分を呼ぶ声がすると思うが、瞼が開かない。
なんだか、体が重くて思うように動かせない。
緑間真太郎は微睡の中で感じていた。

「そろそろ、起きてくんねーかなぁ」

何度となく、自分の名前を呼ばれるうちになんとか瞼を開けることが出来た。

「お。目、覚めた?」
「……うるさいのだよ」

ずっと喋っていなかったかのように、酷くかすれた声が出た。
何度か瞬きをしているうちに、体が動かせるようになり、起き上がる。
ずれた眼鏡を上げ直し目の前にいる男を見つめる。
見た事のない人物に緑間は眉を顰める。

「誰だ?」
「気分はどう?」

緑間の問いには答えずに目の前の人物は緑間の体調を気遣う。
思えば目覚める前までひどく体が重かったのに、今はそれが嘘のように動く。

「別に問題はないのだよ」
「そっか。なら良かった」

嬉しそうに言う人物をまじまじと見つめれば頭に見たこともないものが浮いていた。

「……輪っか?」

緑間は首を傾げ確認する。目の前の人物の頭には所謂、天使の輪が付いていた。
見間違いなどではなく、確かに付いている。

「ああ。そっか、俺は和成。一応、天使やってまっす」
「……は?」

緑間は目が点になった。
けれども、目の前の人物にある天使の輪に糸やワイヤーはない。
生まれてこの方、想像上や架空の人物に出会ったことのない緑間には目の前が胡散臭いことこの上なかった。

「いやいや、そうなるとはおもったけどさ。疑う前に周りをよく見てみ」
「……?」

言われて周りを見渡して緑間は驚愕した。

「こ、ここは……」

周りには何もなかった。うすぼんやりと白い世界が広がっている。
端的に言えば異空間とでも言うような、現実世界ではありえない場所だ。
そしてそこに居るのは緑間とこの天使の和成という人物だけだ。

「ここは、あの世とこの世の狭間」
「……狭間?」
「はっきり言っちゃうと、緑間真太郎さん、あなたは先程、命を落としました」

天使はあの世への道先案内人ですと、緑間に向けて言う天使の目は真剣だ。

「俺と会う前までの事は覚えてる?」

天使の言葉に緑間は記憶を辿る。
夜勤を終えて、家へと車で帰宅していたはずだった。
車を運転していてもう少しで自宅だというところで、突然対向車線からトラックが目の前に――……思い出して緑間は体を震わせた。

「俺は、あのまま……?」
「そ。居眠り運転のトラックとの正面衝突。そして即死だ」

天使の言葉に緑間は瞳を閉じる。
あっけない自身の人生の幕切れを改めて受け入れる。
思っていた以上に落ち着いていることに緑間は少し不思議に思う。
目を閉じたまま深く深呼吸して再び目を開ける。

「意外と落ち着いてる?」
「そうだな、自分でも驚いているのだよ」
「んじゃ、本題入っても?」
「本題?」

天使の言葉に緑間は眉間に皺を寄せる。
てっきり、このままあの世へと行くものだと思っていた緑間は不思議に思いながらも先を促す。

「なんか、この世に未練があったりする?」
「未練?」

このままあの世に行くんだけど、魂がこの狭間に来るというのはこの世に未練があるものだけだと、天使は言う。
言われても緑間にはいまいちピンときてなかった。
自分の死さえも、冷静に受け入れることが出来たのは未練がないからではないかと思う。
緑間は思い当たりそうな事柄を上げてみるがどれも未練というほどのものではない。しいて言えば気がかりな事ばかりだった。

「……もしもし?」
「思い当たることがないのだよ」
「ないって言われてもなぁ……」

このままだと、あの世に行けないんだけどと、少し言いづらそうに言いだすので緑間はもう一度考えてみるが結果は同じだった。

「本人がないと言っているのだよ」
「深層心理はそうじゃないってことっしょ」

天使は明るく言い緑間に笑顔を向ける。

「とりあえず、移動してみる?」
「なんか、ずいぶんと偉そうだな」

俺より年下なように思うがと、緑間が言うと天使は肩を竦める。
天使の外見はどう見ても高校生か大学生くらい、緑間よりも十歳は離れているように思えたが、天使の反応を見て見たままの判断はあてにならないみたいだった。

「まあ、外見は死んだ時のままだからね。一応、天使歴十年よ」
「……人間だったのか?」

天使の言葉に緑間は驚いた。緑間の問いに天使は苦笑しながら頷いた。

「俺が今年二十九になるのだから、同じくらいか?」
「……って、俺の話はいいから。とりあえずこの世に行ってみようぜ」

未練が何かわかるかもしんないしねと、天使の言葉に頷いて緑間は立ち上がった。
このままここに居ても始まらない、とにかく動いてみてそこからだと緑間は思うことにした。



...to be
   
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自己紹介:
のんびりまったり、同人活動している人間です。

【黒子のバスケ】
友人のススメで原作を読みアニメを見てます。誠凛の伊月センパイ&秀徳1年コンビを気に入っております。

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