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表紙:マ 様
宮地×伊月 / A5FC / 36P / ¥400-
pixiv ⇒ 【SPARK8新刊①サンプル】 Agapanthus
インターハイ予選後の夏合宿で再会した宮地と伊月。
2人にはそれよりも前に意外な接点があって――…、そこから繋がる恋物語。
◆書店委託 ⇒ とらのあな様 / CQ-WEB様
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Agapanthus - アガパンサス -
ユリ科 アガパンサス(ムラサキクンシラン)属
花言葉
誠実な愛 恋の季節 恋の便り 恋の訪れ
* * *
伊月俊という人間を意識したのはいつだったのか、宮地清志は目の前で嬉々としてダジャレという言葉遊びに準じている伊月を見つめながら思い返していた。
はっきりと顔と名前が一致したのは夏の合宿だった。
それまではインターハイ予選で対戦した人物だという認識だけだった。
新設されて二年目のチームに負け、悔しさばかりが残った試合だっただけにチーム全体の印象は強かったが、個人個人とまでなると、どうしても目立っていた主将である日向にエースである火神が印象に残り、他は緑間や高尾が意識していた黒子という人物くらいだった。
そんな印象だったのが変わったのは夏の合宿で偶然にも同じ所を使うことになった時だ。
監督同士の計らいで合同練習となった。
そこで初めて伊月が宮地に声を掛けてきたのだ。
「あの、宮地さん」
「あ?」
「ディフェンスの練習の相手をお願いできないですか?」
声を掛けてきたことにも驚いたが、自分自身の名前をちゃんと覚えていたことに驚いた。
「え、と……、オレ?」
「ダメですか?」
「あ、まあ、それは別に構わねえんだけど、何でかなっていうのと、……わりぃ、名前……」
「あ、伊月です。伊月俊。PG(ポイントガード)の二年生です」
名乗らずにすいませんでしたと、イヤな顔をするどころか逆に謝ってきた伊月に宮地は口を開いた。
「いや、謝るのはオレの方だろ。名前覚えてなかったのはこっちなんだから」
「そんな、ちゃんとした自己紹介もしてないんですから、宮地さんは悪くないです」
「おまえは俺の名前を覚えていただろう」
「それはっ」
「いいって、いいって、どうせ高尾のでかい声で覚えたんだろう?」
高尾の宮地や他の人物を呼ぶときの声は、良くも悪くもよく通る。
この合宿期間も、何度となく呼ばれているから伊月が覚えたのだろうと宮地は思った。
「いいぜ、ディフェンス練習な」
「はい。よろしくお願いします」
妙に嬉しそうに笑った顔が印象的だった。
その日の練習終了後、夕食までの間が自由時間になっており、外へ走りに行くものやそのまま残って自主練するものと各々好きに過ごしていた。
宮地はそのまま残って練習していこうと思い、ボール片手にドリブルをしながらあたりを見渡した。
先ほど一緒に練習した伊月も、残って練習をするようで、ポールを立てて、そこをドリブルでジグザグに走り抜けていた。
それを確認して、宮地も自身の練習に没頭した。
徐々に一人減り二人減り最終的には、伊月と宮地だけになっていた。
そろそろ宮地も切り上げようかと思ったが、伊月は未だに練習を続けていた。
「いつまでやるつもりだ?」
「今日のこの感覚が染み着くまで」
何度も何度もボールをドリブルしながら動き続ける姿に、宮地は思わず声を掛けていた。
「染み着くって」
「ダメなんです。人より多くやらないと」
みんなと同じ場所に並ぶためには必要なんですと、続ける伊月に宮地は似たようなものが自分にもあることに気付く。
宮地自身も、三年になってようやくスタメンに入ることの出来るレギュラーになれたが、それも人の倍以上の練習量があってこそだ。
自分に恵まれた才能などないが、大好きなバスケで自分の出来る限界の能力が出せれば、才能に勝つことが出来るはずだと信じて練習し続けた結果だ。
世の中には、超人もいれば凡人もいる。
同じ練習に同じ練習量をやって出せる実力に差が出るのは人間ならば当然だ。
けれどその生まれる差が、人よりも多く練習することで埋まるのなら、その努力は惜しまない。
その姿勢は宮地にもあるものだ。
こうした努力の先にあったのが、自分達からの勝利に繋がっていたのかと、宮地の中にあった単なる悔しさが少し違ったものに感じた瞬間だ。
「なるほどな」
「えっ」
「いいぜ、そういうのは嫌いじゃねえ」
宮地は伊月が手にしていたボールを奪い目の前に立つ。
「やろうぜ」
「……は、はい!」
宮地は伊月の練習につきあった。
~ 中 略 ~
夏合宿での出来事を思い出しながら目の前にいる伊月に視線を戻す。
まだ一人で楽しそうに言葉遊びに準じている。
「おい。オレは勉強を教えにきてるんだが?」
「えっ」
ノートにメモっている伊月に宮地が声を掛ける。
聞いてたんですか? というような瞳で宮地を見るので宮地は大きく息を吐いて目の前にある伊月の頭を叩いた。
「いたっ」
「お前のくだらんダジャレを聞きに来たわけじゃねーんだよ。轢くぞ」
「上の空だったの、宮地さんの方ですよ」
伊月はそう言ってメモしていたダジャレノートをしまい、机に出していた勉強のノートに向き直った。
「ここ、わからないんで教えてください」
聞きたかったのにオレの声聞こえてなかったでしょ? と続けられた伊月の言葉に宮地は、ぐうの音も出なかった。
「付き合ってもらってるのは事実ですし、いいですよ」
バスケの練習だけではなく、こうして勉強まで教えるようになったのは偶然だった。
もうすぐテスト期間だと言って、数学以外中々成績が伸びないと一人ごちた伊月の言葉に、教えてやろうかと軽く言ったのがきっかけだ。
その時、『宮地さんって、頭良いんですか?』という伊月の意外そうな表情での問いに頭を叩いたのは言うまでもない。
今では宮地の頭の良さを理解して素直に頼ってくる。
「ああ、悪かったな。ちょっと夏合宿の事を思い出してな」
「夏合宿ですか?」
宮地の説明を聞き問題を解きながら伊月は宮地の話に耳を傾ける。
「あの時に聞けなかったんだけど、なんでオレと練習しようって声を掛けたんだ?」
ノートの上で動いていたシャープペンシルが止まり、伊月が顔を上げる。
「ん、どうした? まあ、大した意味なんかないんだろうけどさ、なんか気になってよ」
「なんで気付いちゃうのかな」
上手く話逸らしたのにと、伊月が小さな声で呟く。
その言葉に宮地は眉を動かす。
「意味っていうか、ずっと宮地さんとやってみたかったんです。試合ではどうしても高尾とマッチアップする事が多かったし」
練習なら話をすることも出来るだろうって思ってと話す伊月に、宮地はそんなに対戦を渇望される選手でもないだろうと言うが、伊月は微笑んで言葉を続ける。
「そういうんじゃないんです」
「そういう?」
「高校に入る前から宮地さんの事、知ってたんですよ」
続けられた言葉に宮地は瞠目する。
「知ってたという言い方は違うかな。昔、会ってるんです。宮地さんは覚えてないかもしれないですけど」
「――……」
「二年前の中学の全中地区予選、見に来たことありませんか?」
二年前といえば、宮地は高校一年の時だ。
確か帝光中が出るからと、練習終わりに大坪達と一度見に行った。
「帝光中も試合だった日、オレの中学も試合だったんです」
そんな偶然もあったのかと、宮地は伊月の話を聞いていた。
「中学最後だからと頑張ったのもあったし、まだ試合中での目の使い方に不慣れだったせいか、頭痛が酷くて廊下で蹲ってたオレに声を掛けてくれた人がいたんです」
「それって……」
「思い出しました?」
話を聞いていて記憶が蘇る。
...to be
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のんびりまったり、同人活動している人間です。
【黒子のバスケ】
友人のススメで原作を読みアニメを見てます。誠凛の伊月センパイ&秀徳1年コンビを気に入っております。
作者及び出版社等は一切関係御座いません。自己責任で閲覧ください。
※無断転載禁止※
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