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pixiv ⇒ オトナの階段

大学生パロ。
伊月が進学した大学に宮地先輩がいたらという妄想の果てに出来上がった産物。

CP要素も薄くてオチもない話になってしまいましたが……
すいません、ぐだぐだ続けるのも不毛かなと思って切ってあげました。
ホントにすいません。

※注意※ 未成年の飲酒表現がありますので気を付けてください。飲酒は二十歳から!

+ + + + + + + + + +
大学の部活、サークルに新入生が来るように勧誘をするのは毎年恒例の行事だ。
正門から校舎までの道にそれぞれが陣取り各部、サークルのチラシを新入生に配る。
もちろん興味のないものもあるだろうが、とりあえずは受け取らせ、選んでもらわなければ今後の存続に関わると各自必死だ。
バスケ部も御託に漏れず必死に勧誘していた。
大学になると、多種多様なサークルがあり、そちらに人員を持って行かれることが多く、特に強豪という訳ではない部はそれこそ必死に勧誘しなければそれこそ存続の危機に陥ってしまう。
宮地もその勧誘の中にいて、新入生に片っ端から声をかけチラシを配っていた。

「バスケ部ー、バスケ部です」
「……バスケ部」

興味があるように立ち止まった新入生を見つけ宮地は声を掛ける。

「経験なくても大歓迎ですよ」
「あ、オレは経験者、で……」

顔を合わせてお互い言葉を失う。
何回か瞬きを繰り返して確認する顔は高校の頃に何度か顔を合わせたことのある顔だった。

「しゅ、秀徳の……宮地、さん?」
「お前は、誠凜の?」
「伊月、伊月俊です」

お久しぶりですと笑顔で会釈され宮地は拍子抜けした。
何度か対戦したことのある誠凜高校のPG。まさか、同じ大学に来ているとは思わず宮地は伊月をまじまじ見つめた。

「お前、なんでこの大学?」
「ええっ、この大学の学部に入りたかったからですけど……」

もしかして、バカだと思われてます? と伊月が続けたので宮地は素直に頷いた。
運動に特化した人間特有の勉強できないという印象は誰だって持っている。
基本的に偏差値の高い高校でも、スポーツ推薦で入っていたりすることが出来たりするので、話は別だったりもするのだが、生憎と誠凛は違う。

「一応、誠凜高校って、文武両道の学校ですよ。まあ、例外的なのが部員にいましたけど……」

宮地の通うこの大学の偏差値は高い。
特に理数系の学部に関して言えばかなり難易度が高かったりする。
そこに実力で入ってくるには相当勉強しなければいけない。宮地もその難関を突破したその一人だ。
伊月もここにいるということは、宮地のように難関を突破したという事だ。

「いや、悪い。バスケ部員だった奴に会うとは思ってなかったら」
「いいですけど。実際、誠凜でここに入ったのオレだけみたいだし」

宮地にしてみたら、全国大会に出ているチームでレギュラーをしていたのなら、ここではなくもう少しバスケが強い大学に進むんじゃないかと思っていた。
お世辞にもこの大学のバスケ部は強くはない。

「オレもまさか宮地さんがこの大学とは思いませんでした。もっと、バスケの強い大学に行ったとばかり思ってました」
「それはオレも一緒だ」
「強いところはそれなりに魅力だったんですけど、入りたい学部じゃなかったり、あと……強い大学にはそれこそオレの敵わない人ばかり集まって、レギュラーになれないんじゃないかなって思ったりもして、そういう打算も少しあったりします」

ホント身体的にも能力的にもずば抜けてるわけじゃないので、と苦笑する伊月に宮地はチラシを渡す。

「まあ、オレも似たようなもんだ。試合に出たいから部員ギリギリの大学に入った。もちろん、やりたい勉強があったのも事実だけどな」

実力で入れるなら入った方がいいだろうと、伊月の頭を撫でる。
せっかく、勉強が出来るならわざわざレベルを下げる必要はない。

「部員は今のところ各学年三人ずつだ」
「三人……ってことは全員で九人?」
「そのうち名前だけの幽霊部員もいるから、お前くらいの実力なら文句なくすぐレギュラーだろう」

宮地は口角をあげて伊月をみる。

「張り合いの奴が入ってくれれば、それだけでテンションが上がる。やっぱ軟弱なんだよな」

わかっちゃいたけどさと、宮地は続ける。
強豪チームになる学校は練習量やそこに対する意気込みが違う。
弱小となるチームは才能や能力がないのもあったりするが、どこか諦めや練習に対する真剣さがない部分がある。
必ずしも全員という事ではないが、高校時代強豪チームで血の滲む様な練習していた宮地には大学での練習メニューはまだまだな部分が多分にある。
心意気に違いがあるのは仕方がない。
だけど、それだけでは終わらせたくないと宮地は思っている。
そこにきての、伊月との出会いは宮地にとって素直に嬉しいものだった。
対戦していればわかる、バスケに対する真剣な思い。
一緒にやれると思うだけで楽しみだ。

「早く宮地さんとやりたいです」

嬉しそうに笑ってチラシを受け取った伊月がよろしくお願いしますと、頭を下げた。

 * * *

「「おつかれっしたぁー!」」

体育館に響く声は数少ない。
部員全員が集まることはほとんどないが、それでも宮地は毎日の練習には顔を出していた。
そしてその中に伊月の姿もあった。
強力な新入生に先輩勢は歓喜の声を上げていた。
的確なパスまわしと、ゲーム運び。
新設校とはいえ、全国まで行ったチームのPGを勤めていただけはある。
宮地は一緒に練習しながら、そう感じていた。

「やっぱりPGがちゃんとしてると違うなぁ」

練習のミニゲームで感じるやりやすさは、宮地だけではなく他のメンバーも感じているようだった。
宮地は高尾がチームにいた事もあり、コートを俯瞰で見ることのできる伊月のパスにさして驚きもしなかったのだが、そういう経験がないものには不思議なことらしくはじめは驚きと戸惑いがあった。
当の本人はタオルで汗を拭い、スポーツドリンクを口にしていた。

「おつかれ」
「あ、お疲れ様です」

宮地が声を掛ければ笑顔で返してくる。

「さすが、宮地さんは動きが違いますね」

パスが出しやすかったですと、嬉しそうに話す伊月は本当にバスケが好きなんだと感じる。
宮地にしてみれば、ジャストなタイミングでパスが来るのでやりやすかったというのが本音だ。
そうやって動いている選手をしっかり見ているからこそ出せるパスなのだろう。
やりたくても簡単に出来るものではない。
それは、やはりさすがという所なのだろう。

「おーい、宮地と伊月も行くだろ?」

突然掛けられた声に伊月は首を傾げる。横に居る宮地に何処かに行くんですか? と聞いてくるので新入生の歓迎会だと小声で告げる。

「今日、行くんですか?」
「ああ。練習前に話が上がったんだが、都合悪かったか?」
「い、いえ、大丈夫です」

伊月に確認を取り宮地は声を掛けてきた幹事にOKの返事をする。

 * * *

向ったのはチェーンの居酒屋だ。
けれど、宮地も当然伊月も成人していないが、成人している先輩にはどうでもいいことだ。
無理やり飲まされそうになるのは目に見えていたので、宮地は戸惑っている伊月を自分の横に座らせた。

「オレ、まだお酒って……」
「無理して飲む必要はねえからな」

不安そうにそう口にする伊月に宮地は小さく声を掛ける。

「先輩たちは何飲みますか?」

宮地は先輩たちの注文を聞き店員に言っていく。

「おい、宮地も伊月もちゃんと飲めよー」
「わかってますよ」

宮地は先輩に向けてそう返事をしながらも、店員に自分たちは未成年だからと言いこっそりソフトドリンクを持ってきてもらうように手配した。

「先輩に何飲んでるんだって、聞かれたらウーロンハイですって答えろよ」
「は、はい」

宮地は伊月にそう忠告すると、伊月は素直に頷いた。
持ってきてもらったソフトドリンクはウーロン茶で、一番見た目ではアルコールの有無はわからない。カモフラージュには一番の飲み物だ。

「「カンパーイ」」

歓迎会という名の飲み会が始まった。
伊月は宮地に言われた通り、先輩に聞かれたらウーロンハイですと言い、それを飲んでいた。

会も終盤に差し掛かり、先輩たちはアルコールも入り、同じ話を何回もしたり呂律が回っていなかったり、テンションがいつも以上に高くなったりしていて伊月は見つめながら心配になるが宮地はいつも通りの表情で目の前にある串揚げを食べている。

「だ、大丈夫なんですか?」
「ん? ああ、いつもあんな感じ。明日にはこの記憶はないな、きっと」
「はあ……」
「だから、あんなのに巻き込まれない為にアルコールは入れないことにしたんだ」

宮地の言葉に妙な説得力があり伊月は自分の手元にあるウーロン茶を見つめる。
伊月にも手をまわしてくれたのは宮地の優しさだろう、伊月は少し嬉しくなって宮地に向けて口を開いた。

「ありがとうございます」
「あ?」
「俺もウーロン茶にしてくれて」
「お前、飲んだことないだろ?」
「……はい。まだ未成年なので」

首を傾げて伊月は答えるが宮地は大きく息を吐く。

「だと思った」
「え、だって、宮地さんもまだ未成年……ですよね?」

伊月は問いかけながら、宮地が先程口にした言葉を思い出した。
『あんなのに巻き込まれない為にアルコールは入れないことにしたんだ』と、言っていた、【入れないことにした】ということは、入れた事がある口振りだ。

「まだ、二十歳にはなってねえけど、あんだろ、ノリでやる酒盛り」
「え……」
「まあ、お前はないだろうと思ったんだけど、正解だな」

目を白黒させている伊月に宮地はそれが普通だからと背中を叩く。
宮地も酒盛りしたのは2、3回の話だ。
それでも真面目な連中の集まりだったのもあり、1人1缶飲み切るか飲み切らないかで終わるような簡単な酒盛りだ。
多少のアルコールへの慣れが付くか付かないかのものだ。
それでも未成年でアルコールを飲むことへの罪悪感はあったが、このバスケ部の歓迎会で強引に飲まされることになったことを考えればやっていて良かったようにも思った。
けれど、一杯飲んだところでアルコールが回って危ないと判断した時に、その時4年だった先輩にウーロン茶をこっそり頼んで、ウーロンハイだと誤魔化すように教えてもらったのだ。
アルコールを摂取したことのないだろう伊月には始めからノンアルコールを飲ませて正解だったと宮地は思った。

 * * *

「ほらー次の店行くぞー」

会計を終え、外へ出ると酔った先輩が声を荒げる。
それを伊月はどうしたらいいのかわからず見つめていたが、宮地が伊月の背中をトントンと叩いてその集団からゆっくり離れさせる。
そして、店の傍の路地に入って様子を窺っていると、先輩たちはそのまま次の店へと向かって行った。

「あれ?」
「居る人間だけで向かおうとするから、静かに居なくなれば平気なんだよ」
「そうなんですね」

またも宮地に救われた伊月は、宮地に向かい感謝を口にする。

「別にどうってことねえだろ。ほら、帰るぞ」
「あ、はいっ」

宮地は伊月の頭に手を掛けて引き寄せる。そしてそのまま駅に向かって歩き出す。
こうして宮地とよく話したりするようになって伊月は宮地はすごく良い人なんだと感じていた。
確かに口は悪い。
口を開けば物騒な言葉が出てくるが、それよりも彼は周りに気を配りよく見ている。
伊月もそうすることは、人より得手いたはずなのだが、宮地には敵わなかった。
そして何故か伊月に事をよく気にかけてくれている。
それがとても嬉しくて、伊月はつい宮地に頼ってしまっていた。
大学でのわからないこともだが、講義の内容なと彼が知り得るだろう事をよく聞きに行っていた。

「明日、俺たちが居なかったことは大丈夫なんですか?」
「あ? ああ、平気平気。覚えてないからテキトーに口裏合わせて頷いてればいいって」
「ええっ!?」

何でもないように言う宮地に伊月は自分には出来ないと首を振るが、それを見て宮地は笑う。

「大丈夫、どうせそんな話題にも出ねえから」
「ホントですか?」
「しつこいな、轢くぞ」
「いえ、もういいです」

伊月は宮地の言葉を信じ、駅へ向かう。
そして、飲み会の時に気になったことを問いかける。

「宮地さんはお酒飲んだことあるんですよね?」
「ん、ああ。あるぜ」
「美味しいんですか?」

二十歳という年齢が近づいてきたこともあったし、こうして飲んでいる人を目の前にした食事は家族以外では初めてだったので気にならない訳がなかった。

「まあ、種類にもよるだろうけどなぁ」
「種類?」
「そうそう。まあ、ビールに日本酒、焼酎、甘いカクテル系だったりさ。こればっかりは飲んでみないとわかんねえだろうけど」
「宮地さんはどれが好きですか?」
「俺か? そうだなぁ、ビールに後はサワー系かな」

宮地はうーんと、首を捻りながら種類を挙げていく。

「まあカクテル系も飲めない訳じゃないけど、甘ったるくてなぁ」
「そうなんですか……」
「今度、やってみるか? 酒盛り」
「えっ、いや、でも……」

宮地の提案はすごく惹かれるものがあったが、未成年だと思うとストップがかかる。
そんな伊月の心情がわかるのか、宮地は伊月の頭をぽんぽんと叩く。

「まあ、やりたくなったら言え。付き合ってやっから」
「……はい。ありがとうございます」

2人は駅まで他愛ない話をしながら向かった。




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自己紹介:
のんびりまったり、同人活動している人間です。

【黒子のバスケ】
友人のススメで原作を読みアニメを見てます。誠凛の伊月センパイ&秀徳1年コンビを気に入っております。

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