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表紙:枕あおじ様 [ pixiv ]
森山×伊月 / A5FC / 20P / ¥300-
pixiv ⇒【ST静岡新刊サンプル】 そこにある幸せ
!ST静岡にて発行予定だった本。初売りはスパコミになります。!
甘え下手な伊月さんと甘えてほしい森山さん。
些細なきっかけで頻繁に会うことになった2人の話。
掲載している「無理してしまう君へ」の前日譚である出会い編と、その伊月視点を収録致しました。
表紙は枕あおじ様に描いていただきました。
>> 「無理してしまう君へ」
◆完売いたしました。お手に取っていただき有難う御座いました。
+ + + + + + + + + +
「海常の、森山さん!」
「……?」
入ってきたのは春に練習試合をした海常高校のSGである森山由孝だった。
「あ、君は確か誠凜のPGだった……」
「伊月です」
「そうだそうだ、伊月だったね」
伊月よりも幾分高い身長に伊月は羨望を抱いて見つめた。
身長だけがすべてではないが、やはり高い方が有利なのは変わらないスポーツだ。
それに森山には唯一絶対の武器である3Pシュート。無回転シュートがある。
伊月にはそれこそ空間認識能力があるくらいしか、取り柄がない。
それも、上がいる状態では絶対の武器とも言えない。
その為にリコの父である景虎からのアドバイスを受けて特訓を重ねてはいるが、まだ結果らしい結果は出せていない。
それ以上に夏のIHの桐皇との試合はすごかったと伊月は思っていて本当に練習試合とはいえ、海常に勝つことが出来たのかと疑ってしまうほどだった。
「でも、ここって来るの遠くない?」
森山が首を傾げるのも無理はない。
ここのお店は都内とはいえ神奈川よりで、伊月の学校の地区からは少し遠い。
「はい。でも、ずっとここで買ってるので、ゲン担ぎみたいな感じもあって」
「ずっとって、いつから?」
「小二からです」
「へえ、伊月ってミニバスやってたんだ」
「はい。子供用サイズを取り扱ってるのがここくらいしかなくて、それ以来なんです」
「そっか。それじゃあ、変えられないね」
森山は納得して笑った。
「伊月もWC予選に向けて慣らすために?」
「そうです。だいぶ痛んできてて大会もあるし買い換えるなら今かなって」
「だよね。俺も一緒。どう? いいのあった?」
「ダメですね、色々あって悩んでます」
苦笑した伊月に森山も悩んでいることを告げる。
「月バスに載ってたシューズもいいかなって思ったんだけどさ、値段見て手が出ないと思ってさ」
森山が指し示したシューズは大手スポーツメーカーが出した最新モデルだ。
伊月も値段を見て真っ先に却下にしていた。
「俺も値段で一番に候補から外しました」
「やっぱり目は行ったんだ」
「さすがに最新モデルですから」
同じ高校生。お小遣いでは限界がある。
親からの援助があるといえさすがに無理がある値段に二人は笑って別の商品を見る。
「手に持ってるのは、履いてみたの?」
「はい。軽くて動きやすかったですよ」
「へえ」
伊月が手にしていたシューズを見て森山も自分のサイズのものを取り出し、履いてみた。
「ホントだ。だけど俺には軽すぎかなぁ」
その場でトントンと跳ねて確認する森山に伊月はならと、もう一つ指さした。
「これは少し重かったですよ」
「どれどれ?」
「これです」
脱いで元あったところに戻しながら森山は伊月の示したシューズを見る。
そして自分のサイズのものを取り出して履いた。
「あ、ホントだ。これくらいがいいかな。色は……この色とこっちの色かぁ」
どうしようかなぁと呟く森山を見ながら伊月もどうしようかとシューズとにらめっこを始めた。
履いた感じは今手にしているシューズは軽くて動きやすかったのだが色が明るすぎて変な違和感があって、買うのに踏み切れないでいた。
「伊月は、それにする感じ?」
「あ、いや、どうしようかと思って。色の感じは森山さんの持ってるのがいいんですけど」
これだと明るすぎてと、言い淀む伊月に森山はなるほどと言い端にある商品に目がいった。
「伊月、こっちは履いてみた?」
「どれですか?」
「あれ、あれも軽量型みたいだよ」
「あ、ホントだ」
まだ履いてなかったですと伊月は森山に示されたシューズを手にして履いてみた。
「これも同じ感じだ」
ピョンピョンと跳ねて感触を確かめる。
「色もこっちならいいな」
先ほどのよりも抑えられた色使いに伊月はこのシューズにしようと決めた。
「ありがとうございます。まったく気付いてなかったです」
教えてくれた森山に伊月はお礼を言う。
「いや、はじめに色々教えてくれたのは伊月だろ。思った以上に早く決まって感謝してるよ。ありがとう」
「そんな」
伊月は首を振りそんなことはないと言うが森山は笑顔で告げる。
二人で順番に会計を済まし、店主に挨拶を終えて外へでる。
「伊月はこれから練習?」
「いえ、今日は休みなんです」
「そうなの? あ、だから制服じゃなくて私服なのか」
思えば伊月は制服ではなく私服で買いに着ていることに今更ながらに気が付き森山は笑いながら納得した。
「森山さんは練習、ですか?」
「今日は午前中で終わり。今日も練習しててシューズが傷んでるから少し動きづらくてね」
思わず帰りがけに買いに来ちゃったよと、言いながら森山は時計を確認する。
「伊月はお昼食べた?」
「いえ、これから食べようと思って」
「それじゃあ、一緒に食べようよ。俺もこれからなんだ」
「いいんですか?」
思わず聞き返した伊月に森山が笑いながら頷く。
「嫌だったら、誘わないよ」
伊月は平気? と森山が問いかければ嬉しそうに笑って伊月が頷いた。
「はい。すごく嬉しいです」
年上である森山からの誘いに断るに断れなくなってないか森山は気になったが伊月の笑顔に一安心した。
...to be
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のんびりまったり、同人活動している人間です。
【黒子のバスケ】
友人のススメで原作を読みアニメを見てます。誠凛の伊月センパイ&秀徳1年コンビを気に入っております。
作者及び出版社等は一切関係御座いません。自己責任で閲覧ください。
※無断転載禁止※
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