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pixiv ⇒ 5月5日

5×5ということで、森月の日!
ギリギリ滑り込みですが、2人の日常です。
ST5終わりに数時間で書き上げたものなので、山なし谷なしオチなしです。すいません…精進します。

     

+ + + + + + + + + +
     
伊月が目を覚ますと横に居たはずの森山の姿はなく、伊月は首を傾げる。
今日は二人とも午後から部活という日だったので伊月は森山の家に泊まりに来たのだ。
いつもなら、伊月が目を覚ます直前まで森山は寝顔を見つめている。
そして、起きなければ頃合いを見て、声を掛けて起こしてくれる。
けれど、今日はそれがなく隣にも居ない。
伊月はどうしたんだろうと、あたりを見渡すが森山の姿はない。

「……森山、さん?」

思わず呼んでみるが返事はない。
伊月は起き上がり着替えを始める。よく見れば学校へ行く為の鞄は置いてあるので家には居るんだろうという事はわかったので、むやみに探し回るのは止めた。
持って来ていた制服に着替えを終えてベッドに腰掛ける。
すると、扉の外から音が聞こえた。

「あ、起きてた……。おはよう」
「おはようございます」

入ってきて伊月が起きて着替えを終えているのを確認すると、森山は笑顔で声を掛けた。

「ごめんね、みんな早朝に出払っちゃって、ご飯作ってたんだ」
「森山さんが?」

いつもなら、森山の母が作ってくれているのだが、今日はそうではなかったようで伊月は驚きながら森山に問いかける。
確かに制服に着替えてはいるが、まだネクタイはしておらずブレザーも羽織っていない。

「といっても、オレもそんな凝ったものが作れるわけじゃないから、あんま期待はして欲しくないんだけどね」
「そうだったんですね」
「用意できたから食べにおいで」

森山に言われるまま森山家のダイニングへと足を運ぶ。
テーブルにはトーストにオムレツ、ウインナーにレタスの乗った更にヨーグルトと洋風の朝食だった。

「ごめんね、さすがに和の朝食は無理だったよ」
「いえ、ありがとうございます」

森山は伊月の朝食はご飯なのを知っているし、森山自身も朝食はご飯なのだが、時間もなく手間がかからないパンの方が作りやすい。
一瞬悩んだが、確実に出来る方を森山は選んだのだった。

「オレが寝てる間に作ってくれてたんですね」
「作ったっていう程のモノじゃないけどね」

森山は伊月が起きないように、先に起きて一人朝食を作っていたのだとわかれば嬉しさがこみあげてくる。

「さあ、冷めないうちに食べようか」
「はい」

森山に言われてテーブルにつく。

「いただきます」
「はい。召し上がれ」

手を合わせて言った言葉に森山が応えてくれる。
それだけで、なんだか幸せだと伊月は感じていた。

「オムレツ、ふわふわだ」
「平気だった?」
「はい。すごいですね」
「オムレツは一人の時の朝食の時に作ってたからね」
「よくあるんですか?」

一人の朝食の時と森山が言うので、伊月は思い切って聞いてみる。

「そうだね、母さんも父さんも休みの日に朝早く出掛けたりすることがあるから、自分で作って食べることはよくあるよ」
「初めて知りました」
「伊月が来るときは、たまたまそういうことがなかったからね」

森山はトーストを齧りながら何でもないように言う。
伊月からしてみれば不思議な習慣だ。
母が朝食を用意して姉弟皆で食べる。姉や妹が学校行事等でいないことはあったが、それも数少ない。

「伊月の所はあまりそういうことがない?」
「そうですね。自分で朝食を用意したことって、あまりないかもしれない」
「まあ、本人たちも変わってるって思ってるから、あんまりないんだろうね」

お陰で料理が出来るようになったのは感謝だけどねと、笑って言う森山に伊月は意外な一面が見れたと思った。
こうやって、森山の作った手料理を食べるというだけでも、貴重な体験なのに、こういったことがよくあるというのを知れたことは大きい。

「伊月の口に合って良かったよ」
「美味しいですよ」

出来れば今度は作っている姿を見てみたいと、言いかけて伊月は止めた。

「どうした?」
「いえ、なんでもないです」

ほんのり笑っている伊月に森山は不思議そうに見つめる。
よくあることなら、またこういった機会があるに違いない。
ならばその時は起きてその姿を見ようと心に決めた。
ふと目に入ったカレンダーに伊月は何かを思い出した。

「そうだ。森山さん」
「なに?」
「部活に行く前に、コンビニで柏餅買いませんか?」
「柏餅?」
「嫌い、でした?」
「いや、嫌いじゃないけど……なんで?」

伊月の突然の提案の意図が全く見えない森山は首を傾げる。

「今日は五月五日ですよ。折角なので食べませんか?」
「こどもの日かぁ。最近じゃあ、まったくだったからな」
「そうなんですか?」

伊月の家では毎年、母が嬉しそうに柏餅を買ってきては家族全員で食べている。
単に甘いものが食べたいという事なのかもしれないが、すっかり毎年のことだったので、どこもそうなのかと思っていたが、違っていたみたいだった。

「伊月の所はちゃんと食べるんだね」
「あんま、食べないんですかね」
「まあ、家によるんじゃないかと思うけど」

折角だから食べてから行こうかと、森山が伊月の提案を受け入れる。

「柏餅なんて久しぶりだな」
「美味しいといいですね」

大好きな人が作った朝食を食べて始まる一日。
なんか良いことがありそうだと感じずにはいられなかった。

       
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非公開
自己紹介:
のんびりまったり、同人活動している人間です。

【黒子のバスケ】
友人のススメで原作を読みアニメを見てます。誠凛の伊月センパイ&秀徳1年コンビを気に入っております。

作者及び出版社等は一切関係御座いません。自己責任で閲覧ください。
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