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pixiv ⇒ たとえばこんな初詣
伊月先輩と森山先輩と宮地先輩が昔知り合いだったという妄想の第3弾。
正月らしく初詣です。今年一発目なのに、あまり盛り上がりとかはありません。
本当は去年上げようと思っていたものですが、間に合わず今年になりました(汗)
第1弾 ⇒ たとえばこんな偶然 / 第2弾 ⇒ たとえばこんな休日
伊月先輩と森山先輩と宮地先輩が昔知り合いだったという妄想の第3弾。
正月らしく初詣です。今年一発目なのに、あまり盛り上がりとかはありません。
本当は去年上げようと思っていたものですが、間に合わず今年になりました(汗)
第1弾 ⇒ たとえばこんな偶然 / 第2弾 ⇒ たとえばこんな休日
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家で家族と共にテレビを見ていた伊月の携帯にメールが届いた音がする。
携帯のフラップを開きメールを確認すると宮地からのメールだった。
『日付変わったら初詣に行くから出て来いよ』
伊月の予定などまったく無視した内容のメールに伊月は苦笑しながらも快諾のメールを打った。
その後の返信で『森山も呼んでるから』とあって、久々に三人で揃うなと思って伊月は思わず笑みをこぼしていた。
海常高校バスケ部に所属する森山に秀徳高校バスケ部に所属する宮地、そして誠凛高校バスケ部に所属する伊月、一見すると異色すぎる組み合わせに見えるが伊月の中ではごくごく普通の組み合わせだった。
同じミニバスケットチームに所属していた三人は、よく一緒に練習したりしていた。
森山が父親の都合で神奈川に引っ越してしまったり、宮地とは学区が違って同じ中学へ進むことはなくそこから会う事も無くなっていたが、高校生になり偶然にも再会することとなりメルアドを交換して時間が合えば会うようになった。
当時から二人の事を兄のように慕っていた自分には嬉しい再会だった。
学校はそれぞれ違うが、今でもバスケという共通点があり話題には事欠かない。
そして、遠く離れても小学校では簡単には会えなかったが、今ではすぐに会える。
家での新年の挨拶を済ませ、待ち合わせ場所へと向かう為に外へ出た。
「いってきまーす」
深夜の冷え込んだ空気が体にしみ込む。
マフラーに顔を埋めて先を急いだ。
指定された待ち合わせ場所には宮地がすでにいた。
「清志兄、ごめんなさい。お待たせして」
「いや、平気。日付変わってから出て来いって言ったの俺だしな」
宮地は携帯の時間を確認して『家での挨拶はしてきたか?』と問いかけてきたので、伊月は頷いた。
そして、宮地に新年の挨拶をしていなかったことに気付いて、頭を下げた。
「明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」
「おう。よろしくな」
相変わらず律儀だなぁと、宮地は言いながら伊月の頭をガシガシと撫でた。
不意に見上げた顔が、記憶よりも高い位置にあって身長差を実感した。
元々、小学校の頃から背の高かった宮地に伊月は追いつくことはなく、むしろ更に開いているような気がした。
「清志兄って、身長いくつ?」
「身長? 191cmだけど?」
「いいなぁ」
素直に羨ましいと思える伊月は思わず本音が口から出ていた。
バスケをするのに身長はやはり高い方がいい。
「まだ、伸びるだろ?」
宮地は年齢的にもまだ伸びる可能性があるだろうと平然と言うが、伊月は伸びても4、5センチじゃないかと思う。
どう頑張っても宮地程伸びるとは思えなかった。
「その身長までは無理な気がする」
身長だけではないとは思うが、どうしても試合に出ていると自分は低いと感じる。
もう少し高ければと思ってしまう。
「……高くてもレギュラーになれるもんじゃねえぞ」
「えっ?」
「いや、なんでもねえ」
伊月は宮地の言葉が聞き取れなかった。
聞き返すが、宮地は答えることなく伊月の頭を撫でた。
「わわっ」
「さすがに神奈川からじゃ時間掛かるな」
メールを見る宮地が森山の現在位置を確認する。
しばらく、待つしかないなと、呟く宮地が伊月に携帯を渡す。
「もし、森山から連絡あったら出ていいから」
「えっちょっ、清志兄ッ」
宮地はそう言うと何処かへと走って行ってしまった。
残された伊月は手渡された携帯を持ちながら宮地の背中を見つめた。
「何処行っちゃったんだろう……」
伊月は通りを過ぎていく人を見つめる。
ここから少し歩いた先にある神社に初詣に行く人達だ。
そこへ宮地と森山と伊月も行くんだよなと思いながらも、行き先も告げずに何処かへと行ってしまった宮地が気になって走り去った方を見るが姿はない。
すると手元で握っていた携帯が震えだした。
ディスプレイを見ればそこには森山の名前があり、伊月は宮地の指示通り電話に出た。
「もしもし」
『あれ、宮地?』
「いえ、俊です」
『やっぱり、宮地の声じゃないと思った。アイツはどうした?』
「えっと、どっか行っちゃいました」
『俊を置いて? 俺が遅くなるのに?』
「えっ?」
『いやいや、ごめんね。今乗り換えでさ、あと十分くらいかな掛かっちゃうんだ』
「わかりました。人が多いんで気を付けてね」
『ありがと、じゃあ、また後でね』
通話を切り、顔を上げて辺りを見渡すが宮地の姿はない。
どこに行ってしまったのだろうと、宮地の置いていった携帯を見つめて息を吐く。吐いた息が白くなって外の寒さを際立たせる。
「おらよ」
「わぁっ!」
突然、頬に触れた温かさに驚き声を上げて振り返ると後ろに缶コーヒーを片手に持つ宮地がいた。
「き、清志兄!」
「なんつう、声を上げてんだ」
「ビックリしたの」
宮地から缶コーヒーを受け取りそこから暖を取る。
指先を暖めてから缶コーヒーを開けて飲む。喉を通る温かさが体を中から暖める。
「森山はなんて?」
「いま、乗り換えてるそうで、あと十分くらいって言ってた」
「そっか。まあ、早い方だな」
宮地も缶コーヒーを飲みながら息を吐きだす。
「そういや、お前、約束はなかったのか?」
「いえ。元日にはないですよっていうか今更の質問」
「メールの時は即返事が返ってきたから気にしなかったんだけどよ」
後から考えてみたら、約束しててもおかしくねえなぁって思ってと続ける宮地に伊月は苦笑してホントに大丈夫ですよと返す。
「缶コーヒーご馳走さま」
飲み終わり空になった缶を捨てに行こうと近くの自動販売機に設置されているゴミ箱へ歩こうとすると、宮地に止められ空き缶を取られてしまった。
「えっ?」
「オレが捨ててくるから、お前はここにいろよ」
歩き出してしまった宮地の背中を見つめて伊月は待ち合わせの場所にとどまった。
別に捨てに行くぐらいは出来るのになと、思いながら森山の到着を待った。
「ごめんごめん。待たせちゃったね。寒かっただろ?」
「大丈夫ですよ。温かいコーヒー飲みましたから」
「コーヒー?」
「はい。清志兄が買って来てくれて、今は空き缶捨てに……」
「よお。ようやくご到着か」
空き缶捨てに行っていた宮地が戻り、森山に声を掛ける。
「清志兄っ」
「わかってるよ」
森山が一人遠くから来てるのにと、伊月が声を上げようとすると宮地はわかってるよと、伊月の頭を撫でる。
「それじゃあ、行こうぜ」
人の流れに混じり、初詣へと向かった。
神社では温かい甘酒を提供していて、それを見つけた伊月が思わず声を上げてしまったり、参拝まで並んでいる間にお賽銭をいくらにするのかで一悶着したりして、伊月にとってとても楽しい時間だった。
参拝も終わり家に帰ろうかと話している宮地と森山の二人にちょっとお手洗いに行ってくると伊月はその場を離れて社務所に行く。
「きっと混んでるから時間掛かるかな」
「だろうな」
残された森山と宮地は鳥居の近くで伊月が戻ってくるのを待っていた。
「そういや、勉強はどうしてる?」
「まあ、してるけど」
「センター試験?」
「まあな。普通に受験して大学に行くけど」
森山の問いに宮地は淡々と答えていく。
「推薦は?」
「なくはないけど、行きたい学科があんだよっていうか、お前はどうなんだよっ」
「オレ? 一応、センターは受けようとは思ってるんだけどね」
実際、それが自分にとって最善なのかがよくわかんなくってねと、続ける森山に宮地もなるほどと声を上げる。
「それこそ、オレに聞いたところで答えは出ねえだろうが」
「そりゃ、そうなんだけどね」
けれど、こういった話題は同学年にしか言えないことで、しかも学校が違うから知り合いに知られるという事もない宮地に聞いてしまう。
インターハイ、ウインターカップとも出場しレギュラーとして試合にも出ていた森山に有力な大学から声がないわけでもない。
だからといって、それだけで進路を決めてしまっていいのか悩んでしまう。
きっと宮地も声は掛かっているだろうと思って聞いてみたのだ。
聞いたところで答えが出ないことは森山もわかっているのが、聞いてすこしでもヒントになればと思ったのだが、宮地はすでに進むべき道を決めていた。
「にしても、行きたい学科って、勉強出来るんだな」
「ああ? 言っとくがオレはバカじゃねえぞ」
「そりゃあ、ある程度出来ると思ってるけどさ」
会話をしてればそれなりにわかる。
きっと自分よりも頭はいいんだろうなぁと森山は感じていた。
「お待たせしました」
「混んでた?」
「あ、はい。やっぱりすごい人だったから」
戻ってきた伊月に森山が声を掛ける。
伊月は森山に答えつつ、笑みを向ける。
「それじゃ、帰るぞ」
宮地の声に二人も歩き出す。
元来た道を戻りながら歩いていく、向かいから参拝するだろう人がまだ絶え間なく続いていて、これから増々混むかもしれないと話す。
三人がそれぞれ分かれる駅前にたどり着いたとき、伊月が二人の足を止める。
「どうした?」
「なんだ?」
振り返った宮地と森山に向けて伊月は恥ずかしそうに笑った。
「手を出してください」
伊月に言われた通り、二人は手を出す。
それを確認して伊月はその二人の手に同時に先程買ってきたものを置いた。
「はい」
森山と宮地は掌に置かれたものを掴み確認する。
「学業、成就……」
「お守りか」
「二人には必要ないかもしれないけど、受験生でしょ?」
行きたい学校には受かって欲しいからと言いながら、笑みを向ける。
「まさか、さっきこれを買いに行ったの?」
「……まあ」
わかっちゃいますよねと言いつつもここで渡すことが目的だったから開き直れる。
「こういうのは人に買って貰った方が効果があるっていうしな」
「あ、そうなの?」
良かったぁと嬉しそうに笑う伊月に、森山と宮地はお礼を言ってお守りを大事にしまった。
「それじゃあ、今年もよろしく」
「ああ。よろしく」
「よろしくお願いします」
三人で改めて挨拶を交わし、家路へとついた。
今年も良い年になりますように――……
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のんびりまったり、同人活動している人間です。
【黒子のバスケ】
友人のススメで原作を読みアニメを見てます。誠凛の伊月センパイ&秀徳1年コンビを気に入っております。
作者及び出版社等は一切関係御座いません。自己責任で閲覧ください。
※無断転載禁止※
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