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表紙:ほしいも様 pixiv
森山×伊月 / A5FC / 20P / ¥300-

pixiv ⇒ 【C86新刊サンプル】 明日へ広がる空

もしも伊月俊が秀徳高校へ通っていたらというパラレル設定本です。

◆書店委託 ⇒ とらのあな様 / CQ-WEB様 <近日開始予定>





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「オレに勉強を教えてください」

バスケ部の一つ下の後輩だった伊月にそう言われたのはインターハイ予選が始まり中盤を迎えた頃、実力試験の後の事だった。
宮地は何でオレにそんなことを頼むのだろうかと訝しんだ。
自分自身の性格からして誰かに教えるというような事が得意なタイプではない。
基本的に自分の事は自分でしろと言い突き放すタイプだと、宮地自身は思っていた。

「そんなもん、自分でやるもんだろ」
「自分の力だけでは無理だったから……」
「オレが教えたところで、一朝一夕に変わるもんでもないだろう」
「それは、そうなんですけど」

大概の人間は宮地がキツク一蹴してしまえば食い下がるのに、伊月は食い下がらない。
何をそこまで必死になっているのか宮地には疑問だった。

「別に赤点じゃないなら、いいんじゃねぇのかよ」
「それじゃあ、テスト期間中に練習の許可が下りないので」
「……」

伊月の言葉に宮地は開きかけた口を閉じた。

「練習が必要なんです。少しの時間でも出来るのならやりたい。だから、監督に認めてもらう為にも必要なんです」

必死な眼差しで、宮地を見つめる伊月の瞳は真剣そのものだった。
宮地は今まで抱いていた伊月の印象とはまったく違っていた。
不意にどうしてそこまで練習が必要なのかが知りたくなった。

「わかった。教えてやる」
「ホントですか?」
「一つだけ教えろ。なんでそんなに練習してぇんだ?」

伊月の必死さに根負けした宮地が言葉に伊月は喜びの表情をおさえてから、一つ呼吸を置いて口を開いた。

「ダメなんです。人よりも何倍もやらないと同じ土台に立てないから。誰よりも練習をしないと」
「お前、バスケ経験、長いんだろ?」
「バスケは経験が長いかといって強くなれるスポーツじゃありません」

その言葉は確かにと頷くしかない。
毎日の練習でも必ず残って練習していた姿は宮地も知っていた。
自分自身が練習するしか強くなる術がなかったと思う人間だ。宮地の心はすでに決まっていた。


* * *


練習が休みの日曜日。
宮地は伊月を連れて良く行く図書館へとやって来た。

「いつもここでやってるんですか?」
「家より、はかどるからな。休みのときは此処でやってる。学校だと図書室だな」
「図書室……」
「いかに短時間で集中してできるか。むやみに長時間やっても意味ないしな」

宮地はそう言って中に入る。
中は空調が程良く効いていて、外の暑さが嘘のように涼しかった。

「涼しい」

思わず零れる言葉に宮地は笑って定位置の机に向かう。
日曜の図書館は色々な年代の方が利用していて、静かだけれど完全無音ではない絶妙な空間が出来ていた。
宮地はその空間が好きで、小学校の頃から夏休みの宿題など図書館ですることが多かった。
そのお陰か宮地の成績は良いままだった。
席に座り、勉強道具を取り出し広げる。伊月も宮地の横に座り広げる。

「苦手な科目は?」
「……社会、特に歴史系は弱いです」
「暗記モノは基本的には丸暗記が一番なんだが、教科書を読みながら太字のものをノートに書く、これが意外と効果があるんだよな」
「……」
「暗記モノで致命的なのは漢字の間違いだ。それがちゃんと書けないとバツにされる」
「確かに。ひらがなで書いたら三角でした」
「感じは見るより書いて覚えた方がいい」
「なるほど」
「教科書を読んで史実を覚えて、書いて漢字を覚える。これが一番効果があるはずだ」

伊月が持って来ていた世界史の教科書を広げてテスト範囲のページを開く。

「読むのは一部分じゃねぇぞ。ちゃんと最初から最後まで読めよ」
「全部ですか?」
「流れがわかんなきゃ歴史の意味がねぇだろ。テスト範囲なんて一部分なんだし、読めんだろ」

伊月の頭を小突き黙って読めと言えば素直に教科書と向き合う。
自分の勉強方法が必ずしも万人に共通して通用するとは思えないが、暗記モノである歴史などは教師によって出題部分が変わる。
偏屈な教師だとピンポイントな部分を出題されたりして苦戦する。
それがイヤになって、宮地は丸暗記するようにした。
そうすれば、うまくすれば満点に近い点数が取れる。
宮地も自身の勉強に取りかかる。
しばらく集中して勉強しているが、ふと伊月が気になり横目で確認する。
宮地に言われた通り、教科書を読み太字になっている単語をノートに書いている。
覚えにくい単語や人物名は何度か書いたりしていて、言ってない事もちゃんとやっている事に感心した。
一回書いただけで覚えられるほど、人間は万能ではない。
バスケの練習を毎日するように勉強も繰り返しやらなければ身に付かない。
元々の成績も悪いわけではないのだから、宮地が教えてあげられるものはきっと限られるのだろうと思いながら、問題集へと戻った。


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自己紹介:
のんびりまったり、同人活動している人間です。

【黒子のバスケ】
友人のススメで原作を読みアニメを見てます。誠凛の伊月センパイ&秀徳1年コンビを気に入っております。

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